第23回 浜松医科大学 同窓会 松門会 学術奨励賞 受賞者に伺いました。

鏡   卓 馬  (医学科第26期生)

(本学救急部 診療助教)

【受賞論文】
Comparative study of effects of vonoprazan and esomeprazole on antiplatelet function of clopidogrel or prasugrel in relation to CYP2C19 genotype.   
(Clinical Pharmacology and Therapeutics 103:906-913, 2018)


Q1. 受賞の喜びをお聞かせください。
   この度は浜松医科大学同窓会学術奨励賞を賜り誠にありがとうございました。優秀な先輩方と同じ賞を頂くことができ、大変光栄です。 御指導、御支援頂きました先生方に感謝申し上げます。
Q2. いつ頃からどのようなきっかけで今回のテーマに取り組まれたのでしょうか。
   Vonoprazan は世界に先駆けて2015年2月から本邦で使用可能となり、本研究はそれと同時に取り組みました。 Vonoprazan は単剤で用いた場合には、その薬効に CYP2C19 遺伝子多型の影響が少ないのが特徴です。CYP2C19 の影響が少ない Vonoprazan であれば、 従来の Proton Pump Inhibitor (PPI) に報告されていたような(CYP2C19 を介した)Thienopyridine 系抗血小板薬との相互作用との懸念がなく、 同薬の消化管出血予防を目的とした併用に最適ではないかと当時注目を集めていました。これをきっかけに、今回のテーマに取り組みました。
Q3.今回の研究でご苦労された点を教えてください。
   苦労というよりは非常に驚いた点ですが、極めて強い有意差をもって予想と反対の結果が出た事です。 Vonoprazan は併用で投与するにあたり CYP2C19 および CYP3A4 の効率的な基質となり、実際に阻害があり、Thienopyridine 系抗血小板薬、 特に Clopidogrel と顕著な相互作用があることが示唆されました。基質となること自体は Vonoprazan 承認時にも指摘されていたことではありますが、 そこに焦点があたらない Information Bias が掛かっていたわけです。
Q4.近況をお聞かせください。
   専門は消化器内科学ですが、大学救急部へ診療助教として短期出向し、実地に急性期疾患対応の研鑽・資格取得を進めております。 医師としての幅を広げるよう努力するとともに、時間で区切られる勤務形態のため家族との時間も大切にできています。 また、研究活動、国際学会発表は継続し、大学の消化器科診療も微力ながらお手伝いしております。
Q5.今後の課題についてお聞かせください。
   大学院生時に取り組んできた、食道癌の癌幹細胞に関する研究成果を論文として現在投稿中です。 また米国 NIH のラボとの共同研究のための対話を始めつつ、留学の可能性も検討しております。
Q6.今後の同窓会に望むことをお聞かせください。
   いつも楽しみに同窓会誌を拝読しております。 今後も、同窓会生の情報共有の場としての同窓会のいっそうのご発展を祈念致します。

この度は学術奨励賞の受賞おめでとうございます。今後のさらなるご活躍を期待しております。