第22回 浜松医科大学 同窓会 松門会 学術奨励賞 受賞論文要旨

アトピー性皮膚炎乳児の鶏卵早期摂取による卵アレルギー発症予防についての
無作為二重盲検比較試験

Two-step Egg Introduction for prventing egg allergy in High-risk Infants with eczema
( PETIT study ): a double-blind, placebo-controlled, parallel-group randomised clinical trial.

Lancet 389: 276-286, 2017.

夏目  統氏  (本学医学科27期生)  本学小児科学講座  助教

要旨

<背景>
以前は、食物アレルギーの発症予防のために食物除去が推奨された。 しかし近年になり、逆に、乳児期早期からの摂取開始が食物アレルギーを予防する可能性を示唆する観察研究が報告されるようになった。
<目的>
アトピー性皮膚炎乳児を対象に、鶏卵の生後 6 か月(乳児期早期)からの摂取が、 生後 12 か月までの除去に比べて鶏卵アレルギーの発症を減少させるかどうかをランダム化比較試験で検証する。
<方法>
研究デザイン:二重盲検ランダム化平行群間比較試験。
対象:生後 4-5か月のアトピー性皮膚炎乳児。
介入方法:生後 4-5か月に登録し、生後 6 か月から鶏卵粉末摂取群(以下卵群)とプラセボ粉末摂取群(以下プラセボ群)の 2 群に割り付けた。 卵群は生後 6 から 9 か月は加熱全卵粉末 50mg (ゆで卵換算で 0.2g 相当)を、生後 9 から 12 か月は加熱全卵粉末 250mg (ゆで卵換算で 1.1g 相当)を摂取した。 プラセボ群の試験粉末には主にカボチャ粉末を使用した。
アウトカム:Primary outcome は生後12か月時に施行された加熱全卵粉末 7.0g (ゆで卵換算で 32g 相当) の経口負荷試験によって診断された鶏卵アレルギーの発症率とした。
<結果>
Intention-to-treat 解析の対象はプラセボ群に 61人、卵群に 60人であった。 Primary outcome は Intention-to-treat analysis において、プラセボ群で 37.7%( 23/61 人)、卵群で 8.3%( 5/60 人)で、リスク比は 0.221 ( 95%Cl: 0.090-0.543 )であった。
<結論>
アトピー性皮膚炎を伴う乳児は、乳児期早期から、少量の鶏卵たんぱくを接取することで、鶏卵アレルギーの発症を減少させることができた。 少量からの 2 段階摂取法は今後の安全な離乳食導入法への応用が期待できる。