第22回 浜松医科大学 同窓会 松門会 学術奨励賞 受賞論文要旨

頭頸部の早期癌における腫瘍関連遺伝子のプロモーター領域の高メチル化解析による
予後診断の評価について

Prognostic value of aberrant promoter hypermethylation of tumor-related genes
in early-stage head and neck cancer.

Oncotarget 7: 26087-26098, 2016.

三澤  清氏  (本学医学科16期生)  本学耳鼻咽喉科  講師

要旨

頭頸部癌は、生存率が早期癌で 70%、進行癌では 50% 以下であり予後が不良である。初回治療後、局所再発率は 60%、遠隔転移率が 30%で、 死因は遠隔転移よりも局所再発であることが多く、局所再発の早期発見、予測が生存率の向上のポイントになる。 腫瘍のステージングや病理学的悪性度は、再発・予後を予見する因子となりうるが、不十分であることも多い。 そのため、腫瘍再発のリスクを示す分子細胞学的バイオマーカーは、臨床的予後の改善のために必要になる。

今回我々は、定量的メチル化 PCR 法を使って頭頸部癌 133 例に対して 11 遺伝子 (p16, RASSF1A, E-cadherin, H-cadherin, MGMT, DAPK, DCC, COL1A2, TAC1, SST, GALR1)のメチル化解析を行った。 11 遺伝子のメチル化解析と再発予後について、ロジスティック回帰モデルによる多変量解析を行い、 E-cadherin, COL1A2, TAC1, GALR1 の4遺伝子のメチル化が再発予後とそれぞれ関連することが分かった。 次に、頸部リンパ節転移無症例 ( NO )において、この4遺伝子のうち2遺伝子以上にメチル化を認めた症例群が優位に予後不良であることが分かった ( log-rank test, P = 0.029)。さらに Cox の比例ハザードモデルによる多変量解析にて 4遺伝子のうちいずれかの遺伝子で高メチル化症例群は、 再発率が有意に高くオッズ比 4.474 ( 95% CI, 1.241-16.124 )であった。

今回の解析から、 E-cadherin, COL1A2, TAC1, GALR1 の4遺伝子の高メチル化が、頭頸部早期癌の再発予測に最も有効なバイオマーカーであるという結果を得ることができた。 今後、頭頸部癌の再発予測が治療前から可能になると、術式や術後の経過観察方法の決定に寄与できると考えられた。