第22回 浜松医科大学 同窓会 松門会 学術奨励賞 受賞論文要旨

ビタミン D3 アナログと副腎皮質ステロイドの乾癬局面状皮疹への外用は皮膚への
Th17 細胞浸潤とその体外での培養増幅を抑制する

Topical application of a vitamin D3 analogue and corticosteroid to psoriasis plaques decreases skin infiltration of Th 17 cells and their ex vivo expansion.

J Allergy Clin Immunol: 138:517-528. 2016.

藤山  俊晴氏  (本学医学科24期生)  本学皮膚科  講師

要旨

    尋常性乾癬の外用治療にはステロイドとビタミン D3 がよく用いられる。 ステロイドは炎症を全般的に抑えるのに対して、ビタミン D3 は樹状細胞や制御性 T 細胞に作用し免疫寛容にはたらくとされている。

    私たちは当教室で開発した IL-2 と抗 CD3/CD28 抗体ビーズで皮膚浸潤 T 細胞を培養・増幅する手法を用いて、 ステロイド軟膏(ベタメタゾン ; Bet)、ビタミン D3 軟膏(カルシポトリオール; Cal )及びそれらの合剤軟膏 (CB)の外用が皮膚浸潤 T 細胞に与える影響を調べた。

     10 名の乾癬患者で、2週間以上無治療で同程度の重症度の皮疹4か所を選定し、それぞれに Cal、Bet、CB を1日1回2週間外用した。 1か所は無治療のコントロール( Cntrl )とした。2週間後に皮疹を臨床評価し、各部位より皮膚生検を行った。 組織の半分を病理組織学的検討に、残り半分を T 細胞の培養に用いた。培養で得られた T 細胞は、FACS で解析した。 また、Cntrl より培養した T 細胞を in vitro での各薬剤の作用を調べるのに用いた。

    結果、各治療で皮膚症状は臨床的・組織学的改善を示した。 培養 T 細胞の解析では、Bet、CB の外用で、皮膚から増幅される T 細胞は、Cntrl に比して有意に減少した。 Th17 細胞は、Cal、CB 外用でその頻度及び数が有意に抑制された。 以上から、Bet は T 細胞全体に、Cal は Th17 細胞に選択的に抑制効果を持つことが示された。 Cntrl 皮膚より培養した T 細胞に in vitro で Cal、Bet をそれぞれ添加すると、Bet では、アポトーシスが誘導され、 IL-17 をはじめ IL-4、IFN-γ、TNF-α 産生が抑制されたが、Cal ではアポトーシスは誘導されず IL-17 、IFN-γが抑制され、IL-4 産生は亢進した。 Cal の添加により、RORC 遺伝子の発現低下も確認された。これらの結果から Cal の T 細胞への直接作用が示された。 さらに、Cal 外用皮膚では IL23ACCL20 といった Th17 細胞の維持や遊走に関わる遺伝子発現低下がみられ、 間接的にも Th17 細胞を抑制する可能性がある。

     以上より、Cal と Bet は乾癬の皮膚 T 細胞に対して異なる作用で効果を発揮することが示された。