第23回 浜松医科大学 同窓会 松門会 学術奨励賞 受賞論文要旨
クロピドグレル/プラスグレルのもつ抗血小板作用にボノプラザン/エソメプラゾールが
及ぼす影響 ー CYP2C19 に関連した比較試験
Comparative study of effects of vonoprazan and esomeprazole on antiplatelet function of clopidogrel or prasugrel in relation to CYP2C19 genotype
Clinical Pharmacology and Therapeutics 103: 906-913, 2018
鏡  卓馬 (医学科第26期生) 本学救急部 診療助教
要旨
【背景】 チェノピリジン系抗血小板薬である Clopidogrel(CLP)や Prasugrel(PR)は主に CYP2C19 や CYP3A4 によって代謝活性化される。 一方、カリウムイオン競合型アッシドブロッカーである Vonoprazan (VPZ)は主に CYP3A4 により代謝されるが一部 CYP2C19 も関与している。 VPZ 併用が CLP や PR の抗血小板効果に与える影響は未知であり、これをプロトンポンプ阻害薬である Esomeprazole(EPZ)併用と比較しつつ検討した。

【方法】 37人の健常ボランティアが次の6種のレジメンをクロスオーバーで内服した; (i) CLP 75 mg once daily (q.d.), (ii) CLP+EPZ 20 mg q.d., (iii) CLP+VPZ 10 mg q.d., (iv) PR 3.75 mg q.d., (v) PR+EPZ q.d., (vi) PR+VPZ q.d.。 各レジメンの内服 7 日目に P2Y12 assay を用いて血小板凝集抑制率 [Inhibition of Platelet Aggregation, IPA(%)] を判定した。

【結果】 IPA 中央値は CLP, CLP+EPZ, CLP+VPZ, PR, PR+EPZ, PR+VPZ において 30%, 27%, 14%, 52%, 42%, 35% であった。 VPZ 併用は EPZ 併用にくらべ CLP や PR の抗血小板効果を有意に減弱した[ 14% by CLP+VPZ vs. 27% by CLP+EPZ ( p< 0.001), and 35% by PR+VPZ vs. 42% by PR+EPZ (p = 0.021) ]。

【結論】 VPZ 併用による CLP や PR の抗血小板作用の減弱効果は、EPZ 併用より有意に大きく、この薬物間相互作用には CYPs の関与が強く推定された。 チェノピリジン系抗血小板薬使用時の胃酸分泌抑制薬選択に際しては、こうした薬物間相互作用にも留意すべきである。(UMIN000019901)